エクステリアの新常識
エクステリア工事が失敗する理由
インターネットが普及したことで、私たちの生活は大きく変化しました。
これまでのように専門業者に直接依頼しなくても、メーカーや量販店のサイトを見れば情報はたくさんありますし、わざわざ店舗まで出かけなくても、ポチッとクリックするだけで欲しい商品が自宅まで届くようになりました。
昨今のDIY(Do It Yourself)ブームも手伝って、
「いっそ、設置まで自分でやってみようか」
ネットの商品を見ながらこんな気持ちになっている方も多いかもしれません。
しかし、ちょっと待ってください。
お庭のお手入れやガーデニングの延長のようなイメージでエクステリア工事を進めてしまうと、おそらくあなたの工事は失敗してしまいます。
エクステリア商品は、決して安い物ばかりではありません。ですから、失敗するとその分、経済的にも精神的にもショックは大きいですよね。
そうならないために、まずはみなさんが陥りがちな“落とし穴”についてご紹介いたします。
商品・設置場所を自分で決めてしまう
カーポート、ウッドデッキ、テラスやサンルームなど、あなたが欲しいと思っている商品をインターネットで検索すればたくさんのラインナップがヒットします。
通常は、デザインや機能、価格を見比べて、「これが良い!」と思うアイテムを2つ、3つに絞ってから、さらに吟味されるというケースが多いでしょう。
もしご自身でやってみようと思っているなら、具体的にアイテムが決まってから、設置場所をきちんと測り、慎重に購入を決められるはずです。
しかし、実はここに落とし穴が潜んでいることがあります。
たとえば、きちんと採寸をしてクローゼット用の衣装ケースを買ってきたとき。サイズはぴったりなのに、その引き出しとクローゼットの扉が干渉してしまって使いにくい、なんていう失敗をしたことはありませんか?
同じように、エクステリア商品も「どこに設置するのか」「どのような動線を確保するのか」まで計算して商品を選ぶ必要があります。
それに加えて、大きな設備であれば、「設置する場所の安全性」も検討する必要があるでしょう。
実は、これらは施工経験がなければ、適切な判断が難しいのです。
サイズの大きな高額のエクステリア商品を買って、苦労して設置したのに、使い勝手が悪かったり、ぐらついて危険だったりしたら、もったいないですよね。
ですから、商品や設置場所を決める際には、インターネットなどでご自身だけの判断で選ぶよりも、プロのアドバイスを加味したほうが圧倒的に安心感が高いのです。
セットの設置工事を依頼してしまう
一方、ホームセンターなどで実物を確認してから購入される方もいらっしゃいますよね。
インターネットの場合もそうですが、ホームセンターでエクステリア商品を購入される場合も、大型のアイテムには設置工事がセットになっていることがほとんどです。
手間のかかる設置までまかせっぱなしにできるというのはとても魅力的。
それが当たり前のようにセットになっているので、多くの消費者はとくに疑問も持たず、その流れで取り付け工事まで依頼されているはずです。
しかし、見落としがちですが、これも落とし穴。
セットの設置工事を担当する業者は、お客様が選べるわけではなく、量販店が下請けの業者の中から、手が空いている施工会社を手配しています。
量販店の看板を背負って仕事を引き受けているので、基本的にはきちんと施工してくれる会社がほとんどですし、消費者としては腕を疑うまでもない、と思われるでしょう。
ところが、実際には「クレームさえこなければ良し」というレベルで施工されている事例が多々あります。
なぜこうなってしまうのでしょうか。
実は、大量に仕入れることで商品を安く提供している量販店は、手元にある商品をなるべく早く、たくさん売らなければいけません。そのため、設置工事が必要なアイテムについては、工事を請け負ってくれる業者もたくさん抱えておかなければいけないのです。つまり、下請け業者は「質より数」。
ですから、どうしても施工スキルに対する評価が甘くなってしまい、よほど大きなクレームがなければ、どんな会社でも下請けとして仕事をまかせてしまいます。
また、お客様に安く提供するためには、施工業者に払う工事費用も抑えなければいけません。
そのため、施工業者にしてみれば、これらの下請け工事で得られる利益はあまり多くなく、苦しい仕事であるのが現状。
しかし、それでもこれらの仕事に頼らざるを得ない状況というのは、残念ながら「他に仕事がなくて時間を持て余している」ということだと察します。
同業の私たちが見ても「腕が良い」「対応が良い」「仕事にこだわっている」という業者が忙しくしていることを考えれば、暇だというのはその逆です。
つまり、量販店の下請けの仕事というのは、実際にはあまり腕が良くない職人さんたちの食いぶちのようになってしまっているのです。
もちろん、すべての下請け業者がいい加減な仕事をするというわけではありませんが、セットの設置工事をお願いする場合は、自分たちで業者を見極められない分、当たり・はずれがあるとも言えるのです。
「工事費も含めた値段」で判断してしまう
大きなエクステリア商品であれば、どのような手段で購入する場合も最終的には「設置工事も含めた値段」で比較して決める方がほとんどだと思います。
これが最後の“落とし穴”です。
たとえば、洗濯洗剤が欲しいとき。
同じ洗剤でも、コンビニだと300円、地元のスーパーだと250円、チェーンのドラックストアだと200円で買える、ということがありますよね。
これは、各企業の仕入れ状況やマージンの関係で差額が発生しているわけですが、どれも“同じ洗剤”なので、単純に安ければ安いほど得をする、と考えられます。
しかし、“工事”のようにサービスや作業に対して発生する料金は、そのほとんどが人件費であるため、安ければ安いなりの対価を受け取ることになります。
つまり、先にも少し触れましたが、価格で勝負をしたい量販店などは、実際には設置工事も安く発注しないといけないため、下請けに支払う報酬もなるべく抑えたいと考えています。
その結果、工事を請け負う会社や職人さんにしわ寄せがいっています。
安い仕事だから
- 1件をさっさと終わらせて件数で利益を出そう
- 仕上がりはこの程度でいいだろう
- 接客まで丁寧に対応する余裕はない
“モノ”ではなく“人”に払うお金をケチってしまうと、こんな風に士気が下がってしまうわけです。
もちろん、仕事ですからきちんとやるべきですが、同じ施工業者としては上記のような気持ちはとてもよくわかります。
ですから、安い商品を探すのはもちろん悪いことではありませんが、設置費込みの激安店で購入する場合は、あらかじめ、いい加減な工事をされるかもしれないリスクと、そうなっても仕方ないという覚悟を持っておく必要があります。
工事を成功させるポイントとは
ここまでは、エクステリア工事が失敗してしまう理由についてご紹介してきました。
それでは、こうした失敗を防ぐために、具体的にどうすれば良いのでしょうか?
ここからは、満足できるエクステリア工事のために気をつけるべきポイントについて、ご紹介いたします。
商品はプロのアドバイスも聞いてから決める
まずはお客様自身で商品を決めてしまわないでください。
もちろん、候補としていくつか希望アイテムをピックアップするのは良いのですが、購入する前に必ず施工経験の豊富なプロの意見を聞くようにしましょう。
通常、高品質なエクステリア工事をしようと思ったら、お客様のお好みや要望はもちろん汲みますが、それよりも、まずはどこに何の目的で設置するかを一番に確認するでしょう。
これがいわゆる現地調査です。
調査の結果、もしお客様がご希望するアイテムが適さない場合はそれを無理に設置することはありません。
豊富な商品知識や施工経験を生かして、お客様が見つけていなかったような別のアイテムを代替案としてご提案するのです。
また、各メーカー同じ商品でも見た目や使い勝手、強度などが違います。
この商品だったら○○(メーカー)の物が見た目が良い、この商品は○○(メーカー)が強度があるなどそれぞれの特性などもご提案できます。
昨今では、台風(暴風)、地震、雪害など自然災害も多いため、安く取り付けできたけど災害で壊れてしまったということになれば本末転倒。
直さないにしても、撤去処分にお金がかかったり、壊れたエクステリアが家を傷つけて補修費用がかかったりと、余計な出費の元となります。
こんな不安があれば、同じ商品でも、あらかじめ風、雪に強いタイプを選んでおくという方法もあるのです。
こうした提案は、おそらく、商品知識はあっても実際に施工した経験がない量販店の販売員にはなかなかできないことだと思います。
現地を見てもらうのは少し面倒と感じるかもしれませんが、そのひと手間で施工後の満足度は大きく違ってくるはずです。
リーズナブルな商品✕高品質な工事が最良の組み合わせ
商品はリーズナブルに、施工は高品質に、というのがエクステリア工事における最良の組み合わせだと考えられます。
ですから、まずは“商品を販売店”から購入する、という先入観を捨てましょう。
また、設置工事費込みの金額での比較もやめましょう。
最初にすべきことは、きちんとした工事をしてくれる施工業者を見つけることです。
良さそうな業者2、3社の候補をあげて、その中から取り扱い商品の価格やバリエーションを比べて判断すれば、工事が失敗する確率はぐっと減らすことができます。
また、販売店から購入した場合、万が一、工事後に不具合があれば、基本的には販売店が窓口になって対応するケースが多いでしょう。
そこから下請けの業者を手配するためタイムラグが発生し、場合によっては施工した業者とは別の業者が対応をすることもあります。
しかし、施工店に直接依頼していれば、責任を持って仕事を引き受け、設置工事後のアフターサービスなども充実します。
ですから、とくに工事が必要な大型のエクステリア商品を考えているなら、まずは施工会社を見極め、そこに工事を依頼することをおすすめいたします。